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また君に恋してる
坂本冬美 作曲:森正明 作詞:松井五郎朝露が招く 光を浴びて はじめてのように ふれる頬 てのひらに伝う 君の寝息に 過ぎてきた時が 報われる いつか風が 散らした花も 季節巡り 色をつけるよ また君に恋してる いままでよりも深く まだ君を好きになれる 心から 若かっただけで 許された罪 残った傷にも 陽が滲む 幸せの意味に 戸惑うときも ふたりは気持ちを つないでた いつか雨に 失くした空も 涙ふけば 虹も架かるよ また君に恋してる いままでよりも深く まだ君を好きになれる 心から また君に恋してる いままでよりも深く まだ君を好きになれる 心から
残酷な天使のテーゼ
残酷な天使のように 少年よ神話になれ 蒼い風がいま 胸のドアを叩いても 私だけをただ見つめて 微笑んでるあなた そっとふれるもの 求めることに夢中で 運命さえまだ知らない いたいけな瞳 だけどいつか気付くでしょう その背中には 遥か未来 めざすための 羽根があること 残酷な天使のテーゼ 窓辺からやがて飛び立つ ほとばしる熱いパトスで 思い出を裏切るなら この宇宙(そら)を抱いて輝く 少年よ 神話になれ ずっと眠ってる 私の愛の揺りかご あなただけが 夢の使者に 呼ばれる朝がくる 細い首筋を 月あかりが映してる 世界中の時を止めて 閉じこめたいけど もしもふたり逢えたことに 意味があるなら 私はそう 自由を知るためのバイブル 残酷な天使のテーゼ 悲しみがそしてはじまる 抱きしめた命のかたち その夢に目覚めたとき 誰よりも光を放つ 少年よ 神話になれ 人は愛をつむぎながら 歴史をつくる 女神なんてなれないまま 私は生きる 残酷な天使のテーゼ 窓辺からやがて飛び立つ ほとばしる熱いパトスで 思い出を裏切るなら この宇宙(そら)を抱いて輝く 少年よ 神話になれ
柳ジョージ
FENCEの向こうのアメリカ 柳ジョージ&レイニーウッド 詞:トシ・スミカワ 曲:石井清登 石畳の坂を昇れば 海のみえる丘に出た 防波堤に当る波間に 俺を呼ぶ声が聞こえた どんなに離れても けして忘れなかったよ 朽ち果てた俺の家と鉄の FENCE AREA ONE の角を曲れば お袋のいた店があった 白いハローの子に追われて 逃げて来たPXから 今はもう聞こえない お袋の下手な BLUES 俺には高すぎた 鉄の FENCE 「あばよ」の一言もなく 消えうせたあの頃 帰りたい HOME TOWN SUITE HOME TOWN SUITE 今はもう聞こえない お袋の下手な BLUES 俺には高すぎた 鉄の FENCE せめて肩の重荷 降ろすことが出来たら 帰りたい HOME TOWN SUITE HOME TOWN SUITE ネオンライトの空に飛びかう 黒い懺悔のハーモニー 銅鐸と JEEP の吠える声は 昨日と今日の道標 今はもう流れない 潮風と赤い CANDY 高い FENCE 越えて観た AMERICA もう流れない 潮風と赤い CANDY 高い FENCE 越えて観た AMERICA 高い FENCE 越えて観た AMERICA
酔って候 土佐の鯨は 大虎で 腕と度胸の男伊達 いつでも 酔って候 酒と女が 大好きで 粋な詩も雪見詩 いつでも 酔って候 鯨海酔候 無頼酒 鯨海酔候 噂の容堂 二升入りの 瓢箪で 公家を脅かす無頼酒 粋な 酔って候 歯が疼き 目も眩み 耳鳴りしようとも いつでも 酔って候 鯨海酔候 無頼酒 鯨海酔候 噂の容堂 新橋 両国 柳橋 夜の明けるまで飲み続け 粋な 酔って候
同じ時代に 夏限り 消えてゆく流れ雲にかげり見た 燃え尽きた おまえとのこの愛の終わり見た 黄昏に背を向けて傷跡を 抱きしめる 蒼ざめたその肌に ひとすじの影が射す 同じ時代に 同じ季節を過ごしてはきたけど 夢がちがった 深い川に 沈むようあてのない 手探りだけ 燃え尽きたおまえとのこの愛の終わり見た 同じ時代に 同じ季節を過ごしてはきたけど 明日がちがった 愛もない 朝もないただ寒い この心 やっと今 この台詞(セリフ)おまえに 言えそうさ
一人酔い 一人飲む バーボンが 涙に溶け込んで 今夜も この俺を惑わせる 小さな 後姿が 涙で かすんで消えた お前の ぬくもりが 今も 残る様な 欠けたグラスで 一人酔い 古い 想い出に 涙が 頬を 濡らす 一人飲む 無茶な酒 馬鹿な奴だと バーボンが 枯れた この俺をただ笑う 小さな 後姿が 涙で かすんで消えた 古い 想い出に 涙が 頬を 濡らす
堀口大学
夕ぐれの時はよい時かぎりなくやさしいひと時
石川啄木
よごれたる手を洗いし時のかすかなる
満足が今日の満足なりき
帽子 西條八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうねえ?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ
母さん、あれは好きな帽子でしたよ
僕はあのときずいぶんくやしかった
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね
紺の脚絆 に手甲をした
そして拾おうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね
けれど、とうとう駄目だった
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでしょう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでしょうね、そして
秋には、灰色の霧があの丘をこめ
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは
あの谷間に、静かに雪がつもっているでしょう
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と
その裏に僕が書いたY・S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく
さくら 茨木のり子
ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞(かすみ)立つせいでしょう
あでやかとも妖しとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
さくらふぶきの下を ふららと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
自分の感受性くらい 茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
ぎらりと光るダイヤのような日 茨木のり子
短い生涯
とてもとても短い生涯
六十年か七十年の
お百姓はどれほど田植えをするのだろう
コックはパイをどれ位焼くのだろう
教師は同じことをどれ位しゃべるのだろう
子供たちは地球の住人になるために
文法や算数や魚の生態なんかを
しこたまつめこまれる
それから品種の改良や
りふじんな権力との闘いや
不正な裁判の攻撃や
泣きたいような雑用や
ばかな戦争の後始末をして
研究や精進や結婚などがあって
小さな赤ん坊が生まれたりすると
考えたりもっと違った自分になりたい
欲望などはもはや贅沢品になってしまう
世界に別れを告げる日に
ひとは一生をふりかえって
じぶんが本当に生きた日が
あまりにすくなかったことに驚くだろう
指折り数えるほどしかない
その日々の中の一つには
恋人との最初の一瞥の
するどい閃光などもまじっているだろう
本当に生きた日は人によって
たしかに違う
ぎらりと光るダイヤのような日は
銃殺の朝であったり
アトリエの夜であったり
果樹園のまひるであったり
未明のスクラムであったりするのだ
